決断力
- 作者: 羽生善治
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/07/08
- メディア: 新書
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直感の7割は正しい
私は、人間の持っている優れた資質の一つは、直感力だと思っている。
というのも、これまで公式戦で千局以上の将棋を指してきて、一局の中で、直感によってパッと一目見て「これが一番いいだろう」と閃いた手のほぼ七割は、正しい選択をしている。
将棋では、たくさん手が読めることも大切だが、最初にフォーカスを絞り、「これがよさそうな手だ」と絞り込めることが、最も大切だ。それは、直感力であり、勘である。決断は自分の中にある
物事を進めようとするときに、「まだその時期じゃない」「環境が整っていない」とリスクばかりを強調する人がいるが、環境が整っていないことは、逆説的にいえば、非常にいい環境だといえる。リスクを強調すると、新しいことに挑戦することに尻込みしてしまう。リスクの大きさはその価値を表しているのだと思えば、それだけやりがいが大きい。そちらに目を向ければ、挑戦してみようとという気持ちも起きてくるのではないだろうか。
情報は「選ぶ」より「いかに捨てる」が重要
私は、パソコンで知った情報は、「その形にどれぐらいの深さがあるか」で、研究するか、しないかを決める。「これは半年もすれば通用しなくなるな」と思えば、それまで。「これは掘り下げる余地がありそうだ」と感じられれば、将棋盤に実際に駒を並べて分析・研究を進めていく。そこの判断基準は勘であり、直感だ。
つまり、情報をいくら分類、整理しても、どこが問題かを、しっかりとらえないと正しく分析できない。さらにいうなら、山ほどある情報から自分に必要な情報を得るには、「選ぶ」より「いかに捨てるか」のほうが重要なのである。