トヨタ流 最強社員の仕事術

トヨタ流最強社員の仕事術 (PHP文庫)

トヨタ流最強社員の仕事術 (PHP文庫)

息子のテニスの試合を見に行く途中でのコンビニで文庫本を購入した。大野耐一氏のもとでトヨタ生産方式を実践してきた人だけに、現場の経験が具体的な言葉でまとめられている。

汗を出しすぎるな 知恵が出にくくなる

今でも、ただ体を動かす人や、夜遅くまで残業している人を、「頑張ってるな」と評価する上司は多い。やっている本人も胸を張っている。だが、それが仕事の成果と結びついているかといえば、話が別なのだ。
トヨタ流は、何時間働いたかとか、どれだけの汗をかいたかを評価しない。どれだけ知恵を出したか、どれだけ工程が進んだか、どれだけの付加価値を生んだかを評価する。あいまいな「頑張ります」ではなく、「頑張らなくてもいい仕組みづくり」を求めるのだ。

目標は現状をかえりみずに 改善は現状を見すえて

チーム北島は「何秒短縮」ではなく、スタートでいくつ、ストロークでいくつ、ストロークでいくつとこまかく修正点を
書き出した。
「何が何でも一位になろう」ではただの精神論、根性論になってしまう。大切なのは遠大な目標の一方に、こまかな改善点をいくつも揚げることだ。それをひとつひとつつぶしていった結果として「一位」が見えてくる。

能力評価は客観的に 能力向上は楽観的に

トヨタ流は、働いている人の能力を「星取り表」によって把握する。
ある人が現在どのような能力を持っているのか、そのレベルはどの程度か。正確に把握しないかぎり効率的な人員配置もできないし、訓練計画も立てられない。生産現場でも、間接部門でも、営業部門でも、必要とされる能力や技能はすべて一覧になっている。そのひとつひとつについて、「一人でできる」「予定通りにできる」「異常時の対応ができる」「人を指導できる」といった評価を行う。
各職場には、全員の名前とともにこの星取り表が貼り出してある。顔写真つきのケースもある。
この星取り表さえ見れば、「この職場ではどういう能力、技能が求められているのか」「働いている人はいくつの能力、技能を持ち、それぞれどの段階にあるのか」「各人は今どの能力、技能を身につけようと挑戦しているのか」が一目瞭然だ。各職場の責任者は、この星取り表によって人員の配置を考えたり、各人の弱い部分を訓練によって強化したりする。