[本]図解インドのしくみ

後進カーストに奉仕されつづけてきた上層カーストは経済社会の変容に気づかず、または、経済力をつけることに執着せず、自らの経済的基盤を支える術を身に着けてこなかった。その結果、カーストの位は高いが、生活は必ずしも裕福でない状態が生まれている。かつての日本の没落貴族のような状態を想像してもらうとわかりやすい。

ここでしっかり認識しておきたいことは、ヒンドゥー教徒イスラム教徒という前に、インド国民であり、またそうありたいと思っているということだ。
これはビジネスをやるうえでも非常に重要で、われわれはつい宗教を先に考えてしまうが、交渉相手はまずインド国籍を持つ市民、との認識が必要で、その点を尊重すべきなのだ。相手がヒンドゥー教徒だとかイスラム教徒だとかと、あまりこだわるべきではない。宗教が違うと騒動が起こるという先入観も、常に正しいとはいえない。
もっとも、宗教上の配慮は必要だが、それも常識の範囲内でよい。素人があまり深入りすると、逆に大けがをする羽目になる。