道路の権力

道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日

道路の権力 道路公団民営化の攻防1000日

焼け太り画策

かつて陸軍の出先機関が中国大陸で勝手に作戦を遂行してしまい、陸軍の中枢はそれを糊塗するため、結局は戦線を拡大することになった。小泉首相は行政の長である。その小泉首相の命令を、ぶかである官僚機構が無視するのだからほとんど異常事態というほかはない。日本道路公団首都高速道路公団阪神高速道路公団本州四国連絡橋公団に、住宅金融公庫都市基盤整備公団(旧住宅・都市整備公団)をあわせた国土交通省系の六公団は、いまだに廃止・民営化の指示を無視したままでいるのだ。

平等幻想

限られた資源が、平等に分配されるという幻想。平等にという要求は、限られた資源を無限の資源と錯覚させるのである。それが、”道路の権力”の実体である。五兆八千億円の道路特定財源、利用するごとに徴収される高速道路の通行料金が二兆六千億円、さらに道路四公団が郵貯簡保・年金から借りる財政投融資という名の膨大な資金、一度この蜜の味をなめたら、もはやそ味は忘れられない。打ち出の小槌と言い換えようか。振れば振るほど小判が沸くのだ。架空の蜜を、架空の小判を、奪い合った結果は・・・・・

最終答申

道路という権力に触れることがどれほどタブーなのか、僕はひしひしと感じ始めていた。前面に立ちはだかってきたのはそれぞれ個性的な道路族議員たちであったが、むしろ顔の見えない霞ヶ関の官僚機構こそが抵抗勢力そのものなのだ。