インテリジェンス 武器なき戦争

日本外交の裏舞台がわかりやすく解説されている。インテリジェンス専門家のほかの本も読んでみたくなった。

「外交は武器を使わない戦争」といわれています。国際舞台の背後では、さまざまな情報戦が繰り広げられている。「インテリジェンス」とは、そうした戦いに不可欠な武器さのです。情報(インテリジェンス)は、国家の命運を担う政治指導者が舵を定めるための羅針盤である--ひとまず、こう定義しておきましょう。

去る(二〇〇六年)一〇月九日の北朝鮮による核実験のせいだ。実験から一週間を経た頃から、各国のインテリジェンス専門家たちが続々と東京にやってくるようになった。・・・・・
秘密情報の九八%は公開情報を再整理することによって得られるという。北朝鮮に関して、控えめに見積もっても東京で熱心に情報収集活動をすれば、インテリジェンス専門家が必要とする情報の八〇%を入手することができる。・・・・・
その結果、いくつかのポイントが見えてきた。

1 「核クラブ」(米英仏露中の核保有国)は北朝鮮をクラブメンバーにしないという腹を固めている。
2 インテリジェンス・コミュニティにおいて、北朝鮮核兵器弾道ミサイルを手放す可能性はないというのが共通見解になっている。
3 「核クラブ」とイスラエルは、北朝鮮の核ミサイル技術の第三国への移転阻止を絶対防衛線にしている。その絶対防衛線を維持するために、「核クラブ」は北朝鮮が核保有国となったことを認めないし、また核廃絶を最後まで北朝鮮に要求する。
4 「核クラブ」は北朝鮮との対話路線に踏み切る。そして対話を通じ、外圧を口実に団結している金正日政権中枢部に隙間をつくりだそうとしている。一部主要国のインテリジェンス機関は、この隙間を巧に衝いて北朝鮮の体制転換を真剣に考え始めている。