第二の青春

木村 剛氏の”絶対に失敗しない資産運用の発想法”から引用する。

日本経済の三つのリスク

まずは、ジャブジャブの「カネ余り」だ。短期金融市場でのゼロ金利が解除されたとはいえ、短期金利無担保コール翌日物)が一パーセントを割る状況がすでに五年も続いている。・・・・・

二つ目のリスクは、六百六十六兆円の財政赤字。短期間でこれだけ財政赤字を膨らませた先進国はほかにない。日本は、たとえ景気がよくなったとしても返済できないほどの赤字を抱えてしまった。・・・・・
その結果、海外投資家の青だでは日本国債は人気がなくなっている。・・・・・
国債というのは金融資産なんだから、負債、負債と騒ぎ立てるのは間違いだ」という意見も声高に語られている。だが、この議論ほど欺瞞に満ちたものはない。日本は世界一の債権国で、個人の金融資産も千三百兆円を超えているからというのがこの楽観論の根拠だが、対外債権は企業が抱えているのだし、個人金融資産はもちろん個人のものである。「私は貧乏だけど、友人はみな資産家だから大丈夫」と言っているのに等しく、要するに「消費税をを四〇パーセントにまで増税します」と言っているのだ。・・・・・

そして、三つ目のリスクは金融機関の不良債権問題。・・・世の中は皮肉だ。不良債権問題があるから、先にあげたカネ余りのリスクと財政赤字のリスクが中和されている。巨額の不良債権によるデフレ圧力があるから、超低金利下での[
カネ余り」によるバブル圧力は相殺されている。また、銀行は、政府から公的資金を入れてもらっただけでなく、短期金融市場からただ同然の資金を調達できるにもかかわらず、不良債権を抱えているのでリスクを恐れて貸し出しを伸ばすことができない。結果的に余った資金が日本国債に向かっているため、国債価格は維持され、長期金利が一パーセント台にとどまっているので財政危機が表面化しない。
つまり、日本経済の三つの懸念が危ういバランスをとっているというのが現状なのである。問題は、絶妙かつ脆弱なこのマクロバランスがいつ崩れるのかという点だ。崩れた途端に、国債価格は暴落(長期金利は急上昇)し、急激な円安とインフレが日本を襲うことになるだろう。