緊縮財政、縮小路線が、国債維持のカギ?
「今かろうじて財政が持っているのは、政府が財政出動せずに、緊縮のままでなんとか財政改革をするのだという意思表示を、鮮明に打ち出しているからなんです。だから、かろうじて金利も2%前後で踏みとどまっている。それが結果的に、国債暴落を食い止める歯止めにもなっていると思います。不景気なので財政出動せよという人がいるけれど、僕は、今のような状況で10兆円単位の財政出動をしたら、その途端に、もうこの政府は赤字を垂れ流して破綻するしかないとマーケットに読まれて、本当に国債が売れなくなり、2008年頃には破綻しているはずです。今の財政は、そういう危ういところで支えられているんですよ。」
松原教授は、現在の財政状況を、タイトロープを渡っていくような状況だと言います。
「・・・日本には、海外からの借金が少ないから、お金を引き揚げられて破綻する心配はない。しかも、財政赤字の政府にお金を貸しているのは日本の国民なんです。国民が、かなりの金額を、預金、年金、保険などを通して、国に貸している。銀行に預金して、銀行がそれで国債を買っているし、年金、保険も国債を買っている。となると、自分が自ら選択しているわけではありませんが、国民が持っているお金というのは、巡りめぐって国債に流れ込む仕組みになっているんです。政府は、国際を発行して、集まってきたお金を使う。そのお金が、公共投資などで皆に配られ、もらったお金で、皆が国債に向かう。しういう、世界に類を見ない妙な安定が、すでにできているんです。」(ドイツ証券のチーフストラテジスト武者陵司さん)