反転−闇社会の守護神と呼ばれて

事件がつぶされる理由

平和相互銀行事件、三菱重工CB事件、そして苅田町事件--。どうにも釈然としない、腹立たしい顛末ばかりだった。なぜ、検察最強の捜査組織である東京地検特捜部が、まともに事件にできないのか。
検察庁は、同じ司法界の組織であっても、行政機関から独立している裁判所とは、そもそも性格が違う。検察は法務省の一機関であって、日本の行政機関の一翼をになっている。だから、事実関係と証拠関係だけで判断できる裁判所と違って、検察は行政組織として国策のことも考えなければならない。しぜん、時の権力者と同じような発想をする。実際、検察エリートは国の政策に敏感だった。・・・
最近、「国策捜査」という検察批判がよくなされるが、そもそも基本的に検察の捜査方針はすべて国策によるものである。換言すれば、現体制との混乱を避け、ときの権力構造を維持するための捜査ともいえる。だから、平和相互銀行事件や三菱重工CB事件のような中途半端な結末に終わることが多い。本格的に捜査に突入すれば、自民党政権や中曽根派が崩壊したり、日本のトップ企業である三菱重工が傷を負う恐れのあるような事件は、極端に嫌う。