ウォルフレン教授のやさしい日本経済

日本経済の歪みを正していく方法はあるの?

[生活環境の改善や向上のための消費を増やすことです]
「国内経済における消費需要低迷」の歪みは、個人の家計部門で再び物を買い始めるようになれば解決します。貯蓄を使って、自分の生活環境の改善、向上を図れば、すべてはいい方向に向かいます。
しかし、十分消費するためには、日本人の住空間は今よりずっと広くならなければなりません。平均的な日本の独身者のアパート、家庭のマンションを訪ねたことのある外国人は、日本の家の中に、床から天井まで壁ぎっしりに物がつまっていることに驚きます。世界中のどこの国でも、日本ほど物がつまっている家はありません。
・・・・・もし居住空間を大きく拡大する政策がとられたとしたら、消費者はもっと買いたい物を買うことになるでしょう。

[輸入を増やすことで好転します]
「輸出依存」の歪みは、輸入を増やすことによって相当程度緩和することができます。
構造的な経常収支の黒字こそが、日本の抱える問題の一大原因となっているのです。海外からの輸入を増やすことは、資本に交換できない山積みのドルの問題を解決に導き、一般の国民にとって大幅に改善、向上した居住条件を目指す経済活動になるはずです。

[工事ではなく、住宅に公共事業を向かわせるのです]
「インフラ支出」の歪み、なぜこのような状況に陥ってしまったのでしょうか。建設のための大がかりな支出は、いくつかの目的のためにありました。これはある種の福祉政策です。あまりお金が入らない自治体に、工事目的でたくさんのお金が流通するという仕組みです。
・・・・・およそ五〇万社といわれる日本の建設事業者に、何かほかにやるべき仕事を与えることはできるのかと言えば、その従事者を再訓練して、不必要なトンネルや橋をつくることに代えて、居住空間を倍増する計画を推し進めることもできるのではないでしょうか。

住宅政策によって、日本経済の歪みは緩和されるの?

私の父は一年あまり前に亡くなりました。その後、家を売却しましたが、一八〇〇万円ぐらいの値段でした。小さな町の中流所得層が住む地域にあったその家は、三階建てでした。庭付きで三つのベッドルーム、リビングとリビングにつながる部屋、キッチン、ほかに数室の小さな部屋がありました。