マネー力 資産運用力を磨くのはいまがチャンス!

機軸通貨はどうなるか

三〇〇〇兆円の余剰資金のゆくえを知りたければ中国とインド、ロシア、それからバルカン半島とトルコ、このあたりの動きには、絶えず目を光らせておく必要がある。
それから、もうひとつ忘れてはならないのがEU。私はEUの拡大とともに、機軸通貨の地位も、凋落するアメリカのドルに代わってユーロが勢力を伸ばすのではないかと見ている。序章でふれたように、二〇〇八年後半はユーロの下落が際立ったが、これから先を見れば、ドルとユーロは乱高下を繰り返しながら、基軸通貨としての地位を争うだろう。なぜなら、ドルや円と違ってユーロには規律があるからだ。世界で唯一の規律ある通過がユーロなのである。
ユーロを導入するには、為替レート、インフレ率、長期金利、財政収支、政府債務残高の五つの指標に関して、EUの定める「マーストリヒト収斂基準」を満たさなければならないと定められている。

ハイパー・インフレをものともしないブラジル人のマネー力

マッキンゼーではブラジルの社員が、給料を月払いではなく週払いにするよう要求してきた。年間1万%(のインフレ)ということは一ヶ月で八三三%もお金の価値が下がってしまうのだから、できるだけ早くもらったほうがいいという理屈は理解できた。さらに、週給でも月曜と金曜では手取り額が数十%違ってくるから、月曜日に支払ってほしいというので、これも了承した。
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彼らは、受け取ったクルゼイロ(レアルの前の通貨)を、その日のうちにシティバンクなどでドルに両替してしまうのだ。ドルで持っていれば、仮にクルゼイロの価値が一万分の一になっても、同じ金額のドルで一万倍のクルゼイロと交換できるのだkら、彼らの懐は痛まないのである。しかしながら、ドルをそのまま銀行においておくと、政府が銀行を封鎖して預金が引き出せなくなってしまうおそれがある。だから、ドルは必ず引き出してタンス預金にしておくという用意周到さだ。