*[本]トルコ 世紀のはざまで

トルコ 世紀のはざまで

トルコ 世紀のはざまで

妻が”いつかトルコに行ってみたい”と言い出したので、この国に関する本を探してきた。

明確な国家像をもつトルコ

「建国の日から八十年近く経った今日、その建国の理念は、今も忠実に継承されている。のちにトルコの自立のために志高く掲げた、政教分離、民主主義、民族統一、近代化などの骨格は、しっかりと守られてきた。またこれを守り抜くための不断の努力が指導者層や心ある国民によって懸命になされており、それがこの国の活力を生み出している。」

ギリシャとの領海幅問題

「周辺国との間で最も複雑な関係をもつギリシャとの間には、まずエーゲ海の領海幅の拡張問題、大陸棚問題、領空幅問題がある。それらは、一九二三年のローザンヌ条約により、トルコの国境が画定されたことから起きている。これによりトルコに近く数多く点在する島々のほとんどがギリシャ領になったため、今日の領海、領空や大陸棚の問題につながっているからである。」

活況を示す自動車産業

「トルコは、今や自動車生産の中心地のような賑わいである。その生産は、欧米や日本などの大手メーカーによるライセンス生産と組立が中心である。イタリアのフィアット、フランスのルノーアメリカのフォード、GMなどが合弁で現地生産している。そして日本のトヨタが、トルコを代表するホールディング(財閥のような大企業グループ)のサバンジとの合弁会社をいち早く設立し、一九九四年九月からカローラの生産を開始した。さらに、ホンダもアナドール・ホールディングとの合弁で乗用車と二輪車を生産している。」

トルコを楽しむ

「トルコの旅の典型的なコースとしては、イスタンブルを起点として、エーゲ海沿岸の古代ローマの遺跡ペルガモン(ベルガマ)、エフェソスをまわり、内陸に入って白い石灰岩千枚田のように段状に連なるなかに温泉水をたたえるパムッカレを訪れ、そしてはるかにアナトリア高原のなかほどにあるカッパドキアを見るのが定番のようである。」

ヒッタイト文明の遺跡

「トルコにあるさまざまな遺跡群のなかでも、私が最も印象深く思ったもののひとつが、アナトリア半島の中心部のやや北よりに残るヒッタイト帝国の都の跡地である。印象深く思った理由は、第一に、その遺跡が、人類初の鉄器をつくり使用した民族の都であったこと、第二に、その帝国がアナトリア高原の奥深く不便な山中に築かれ、しかも堅固でしっかりとした構造を伝えていること、第三に、その本格的な究明が二〇世紀初め、劇的なかたちで起き、今もなおドイツ隊によって発掘や研究が続いていること、などである。」