*[本]検証 なぜ日本の科学者は報われないのか

検証・なぜ日本の科学者は報われないのか

検証・なぜ日本の科学者は報われないのか

大学の現状
「日本の生物学者は三〇歳そこそこで助手になれる。だがきわめて有能(で強運)な研究者であっても、教授として完全に独立した研究ができるようになるのは四〇〜五〇歳を過ぎてからだ。対照的にアメリカの基礎生科学研究者は、三年間のポスドク研究を終えて三二歳で自身の研究室を抱えるアシスタント・プロフェッサーになれる可能性がある。」
「研究職ポストは内部昇格あるいは紹介でほぼ埋まってしまうことから、教授は学生が卒業後の就職先を確保するうえで、なくてはならない存在となる。聞くところによれば、いかなる基礎研究組織といえども講座担当教授の口添えなしに就職するのはまず無理のようだ。」

OBIに科学者と官僚の関係を見る
「講座制は講座内部における流動性を欠く終身雇用の縦型社会、講座相互は不可侵平等という、官僚制の特徴を色濃く備えている。独創的な研究能力と、官吏としての能力は次元の異なる問題であるが、講座制の下では、教授をはじめ研究スタッフは国家公務員として官吏の職階制に縛られている。」