*[本]シチリア・南イタリアとマルタ

シチリア・南イタリアとマルタ

シチリア・南イタリアとマルタ

海辺の高台に壮大な神殿が並ぶセリヌンテの遺跡

前二五〇年、第一次ポエニ戦争の渦中で、カルタゴは戦線を縮小するために全住民を強制的にリリベウムに移し、セリヌンテを放棄した。以後この地には住むものがいなくなり、それでもまだ残っていた神殿などは大地震で倒壊して土砂と生い茂る草木の下に埋もれ、そこに大きな町があったということさえ人々から忘れ去られるに至った。・・・・・海を間近にみわたす高台の上、野の草が色とりどりの花を咲かせているただなかに巨大な神殿が姿を見せていて、爽やかな感動を覚える遺跡である。

見事なモザイクで飾られているローマ時代のヴィラ

ピアッツァ・アルメリーナは、地図の上でアルリジェントと東海岸カターニアとを直線で結ぶと、そのちょうどまんなかに位置している。この町の西南六キロの谷あい、カザーレという小さな集落にローマ時代の豪壮なヴィラの遺跡があり、大小合わせて約四〇室、計三五〇〇平方メートルに及ぶ床の全面に、美しいモザイクが施されていることで名高い。ローマ時代のヴィラとは広大な農園をともなった別荘のこと。

古代のままの姿で残っている都市遺跡パエストゥム

サレルノの東南約四〇キロにあるパエストゥムは、南イタリアの旅では必見の価値がある見どころだ。ギリシア人の植民市が全盛時代を迎えた前六世紀頃にできた神殿群がすばらしい保存状態で残っている。