- 作者: 青木和雄,吉富多美
- 出版社/メーカー: 金の星社
- 発売日: 2005/04/18
- メディア: 単行本
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祖父の手紙
最後に。
あすかは、生まれてこなければよかったと、直人にいったそうです。これは重い言葉です。わずか十一年の人生で、心の死を思わせたのは、わたしを含め周りにいた大人の腑甲斐無さです。妹を傷つけてしまったと、直人も一生後悔し続けるでしょう。それを思えば直人にもまた、いらぬ罪を背負わせてしまったのです。それらは全て祖父であるわたしの罪であり、責任です。静代への愛情の注ぎ方が足らなかったことが悔やまれてなりません。
わたしたちの最愛の子どもたちは、幸いにも人に恵まれたようです。裕治くんや静代の分まで愛情を注いでくださる方々が、二人を育んでくださっています。有り難いことです。健気にも一人で道を探し、歩いていこうとしている直人とあすかを褒めてやってください。六十億に一つの奇跡で結ばれた父と子の絆を、どうぞ、どうぞ大切にしてください。