ザ・ブランド

ザ・ブランド 世紀を越えた起業家たちのブランド戦略 (Harvard Business School Press)

ザ・ブランド 世紀を越えた起業家たちのブランド戦略 (Harvard Business School Press)

ハワード・シュルツスターバックス・コーヒー・カンパニー

ブランドには、消費者に同社商品を連想させる魅力的で独特のアイデンティティ、すなわち消費者の広い認知とロイヤルティを得ることのできるアイデンティティがすでに備わっていた。たとえば一九九五年、北米の平均的なスターバックスのきゃくは、月に一八回も店舗を利用している。そうしたロイヤルティは、競争がますます激化するスペシャティーコーヒー市場で優位に立つために不可欠なことだった。
消費者の「スターバックス」ブランドへの愛着は、大がかりな宣伝や販売促進で得られたものではなく、同社の店舗でしか味わえないコーヒー、店員とサービス、雰囲気、店を訪れた人同士がつながる「コミュニティ」の感覚によって培われてきたものだと、シュルツは信じていた。この経験は「消費者の心と頭に語りかけることで、消費者の信頼を勝ち取った」と彼は言っている。