生協の白石さん

生協の白石さん

生協の白石さん

図書館で何ヶ月か前に予約しておいたものだ。尾瀬ハイキングツアーのバスの中で読んだ。
生協専務理事があとがきで書いているコメントに納得した。学生との接し方、顧客と企業の接し方の真髄がこの質問・回答のやりとりにあるということだ。
私も仕事で一般的なお問い合わせに回答することがある。たいへん参考になった。

今、生協だけでなく多くの小売業、メーカーが、顧客のニーズをつかむためにさまざまな取り組みを行っている。顧客から寄せられる声や意見には、多種多様なものがあると思われるが、そうした取り組みでは、白石さんのように顧客から寄せられるどのような声に対しても実現しようとする立場で誠実に答える姿勢と、そしてまた少し変わった意見や要望に対して、決して相手を失望させることなく、むしろ自分のファンにしてしまうような回答こそが求められているのではないだろうか?そういう点で、この本をちょっと変わったビジネス書として読んでみてもおもしろいのではないかと思っている。
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私一人の勝手な思いこみかもしれないが、白石さんに寄せられるちょっと風変わりな意見や要望を見ると、「これはひょっとすると”私のことに注目してほしい(私の存在を認めて欲しい)”というメッセージではないだろうか」と感じる。そして、私も含めて多くの”大人”は、そうしたメッセージが送られてきたとき、日常の忙しさの中で見過ごしたり、現状にある彼・彼女を見て、ある先入観で接してきているのではないだろうかという反省の思いを抱くのである。
家庭においては子と親、学校においては生徒と先生、職場においては部下と上司の関係でも同じことがいえるのではないだろうか。家庭では、子供が学校での出来事を聞いてもらおうと話しているのに、親はついつい日頃気になっている「忘れ物していない?」「宿題はしたの?」などとばかり答えたり、学校では、勉強やスポーツができる子以外なかなかスポットライトが当たらずその他大勢の一人になっていたり、会社では過去の失敗や成績からのみ評価されて、いろいろな提案をしても取り上げてもらえなかったり・・・・・。だからこそ、どのような質問や意見に対しても率直に受け入れて、きちんと答えてくれる白石さんの回答に接して感じた、”こんなことにもまじめに答えてくれた”という驚き、”しっかり受けとめてくれた”ことに対する喜びが、支持や共鳴を生んでいるのではないかと思っている。