*[本]内側から見た富士通「成果主義」の崩壊

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

内側から見た富士通「成果主義」の崩壊 (ペーパーバックス)

1.目標管理制度の形骸化

”完全な「絶対評価」がなされないと、結局は目標の達成度によらない「評価」が幅を利かす。これでは、管理職同士の政治力で「最終評価」が決まってしまう。その結果は、目標管理制度が形骸化するだけでなく、社員の深刻なモチベーションダウンを招く。”
<感想>
企業の労務費の予算枠が一定であれば、認定される成果は必ず相対的である。上司と本人が合意した「成果」は上位レベルのどこかでは相対評価に変換されるのだ。目標管理制度を生かすには、どの段階でどういう相対評価を適用されたかを上司が本人に説明することが必要だろう。

2.「成果主義」を成功させるには成績公開が必要

”「成果主義」で従業員がいちばん不満を持っていたことに、管理職自身の評価が不透明だったことがある。・・・これをなくすためには、すべての評価を公開するしかない。つなり、オープンシステムにしなければ、「成果主義」はどうやっても機能しない。・・・社内におけるあらゆる評価がオープンになれば、誰もいい加減に人を評価しなくなるからだ。”

3.アメリカでは小学校から「成果主義

”日本人は大いに誤解しているが、アメリカは日本と違って超のつく「受験勉強」と「競争社会」であり、学生たちはGPAが3.0を超えるよう血マナコになって勉強しているのだ。
ということは、彼らは「評価」に慣れているのだ。だから、企業に入って「成果主義」でA,B,C,Dで評価されても、それが当たり前と感じる社会的な基盤と文化があるのだ。しかも、この「評価」は公開されるというオープンシステムで、その公平性が保たれている。・・・つまり、「成果主義」が私たち日本人に問いかけるものは簡単だ。あなたは本当に自分で考えて、自分で成長してきましたか?「成果主義」は、私たち日本人に、私たち自身の「成熟度」を問うているのだ。”