*[本]上司は思いつきでものを言う

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)

上司は思いつきでものを言う (集英社新書)

会社というもの

「一体、「中間管理職の哀しさ」とは、なんなんでしょう?
中間管理職には、ろくな「権限」はありません。だから、哀しいのです。
権限があれば、「命令」も出来ます。でも、あなたにはあまり「権限」がありません。「部下」を持っていながら権限がなく、その権限は「あなたの上司」が持っている。あなたは「上司」になったのに、「上司のピラミッド」の一番下にいるだけのあなたは、「あなたの上司の部下」になっただけで、「自分には部下がいる」が実感できない出来ないのです。その実感のなさこそが「中間管理職の悲哀」と言われるものですが、実は、そんな風に考えるあなたたは、誤解をしているのです。どんな誤解かというと、「上司とは命令する者である」という誤解です。」

最大の問題は、現場と会社の分裂だ

「私は、日本の会社の最大の問題は、「現場と会社の間にある乖離」だと思っています。昔はそれがなかった−−でもいつの間にか出来た。そのことに気づかず−−あるいは薄々気がついていて、でもそれをそのまま放置して来た。

官の組織は現場の声を聞かなくてもいい

「「官の組織が現場の声を聞く必要がない」というのは、官僚がその仕事の範囲を法律で定められ、それに基づいて動いているからです。どう動くのかは「上」が定めることで、官僚の仕事は、「上」から下がってきた任務を、忠実に果たすことだけなのです。」

官僚制は、冠位十二階で明確になる

「「蘇我対物部の戦い以前は、天皇の周りに二つの有力な勢力があったが、戦いの後には一つになってしまった」ということです。
天皇の周辺から「大連」は消えて、「大臣」だけになります。「大臣」を音読みすれば、官僚のトップに立つ「大臣」です。つまり、「日本の有力な豪族は、天皇に后を贈り、天皇に仕える官僚のトップになる」という一元的な官僚制が、蘇我氏物部氏の戦いの後に実現してしまうのです。」

「上流」は、「中流」とは関係ないところにいる

「「官僚には序列がある」と、「その上には更に特別な人間たちがいる」の二段階が、日本の制度社会の基本形です。これがやがては、「会社には上司とヒラ社員の二種類がいて、上司は上司のピラミッドの中にいる」という二段重ね構造へと至ります。儒教は、この「序列」を強化する制度思想でした。それが、平安時代に完成した「儒教のあり方の基本形」で、次の鎌倉、室町にまでこの基本形は続きます。」