*[本]「カネ」はなくとも子は育つ−シンプル人生の教育設計

「外発的動機」からでしか勉強しなくなった

みずから必要を感じて自主的に勉強している子供に、たとえば「偏差値が60を超えたら1万円あげる」という条件を与えると、以後、その子供は、カネを与えられないと勉強をしなくなってしまうそうである。
それまでは「勉強は楽しい」という「内発的動機」によって勉強に取り組んでいたのが、「偏差値が60を超えたら1万円あげる」という「外発的動機」を与えたとたん、本来の内発的動機を失って、外発的動機を与えられない限り、勉強をしなくなってしまったのである。・・・・・
●多くの子供たちが陥っている状況
子供たちは、勉強は楽しいという「内発的動機」によって勉強をしていたが、まず、「いい大学を出て、いい会社に入って、いい生活をする」という「外発的動機」を与えられることで、この「外発的動機」によってしか勉強をしなくなってしまった。次に「いい大学を出て、いい会社に入っても、いい生活ができるとは限らない」現実を思い知らされることで、「内発的動機」とともに「外発的動機」まで失って、何をどうすればいいのかわからない、判断停止状態に陥っている。
●多くの大人たちが陥っている状況
大人たちは、「しっかり努力して面白い仕事をする」という「内発的動機」によって働いていたが、まず、「ライバルを蹴落とし、能力と成果を示して、高い年収を手にする」という「外発的動機」を与えられることで、この「外発的動機」によってしか働かなくなってしまった。次に「ライバルを蹴落とし、能力と成果を示しても、高い年収を手にできるとは限らない」現実を思い知らされることで、「内発的動機」とともに「外発的動機」まで失って、何をどうすればいいのか、わからない思考停止状態に陥っている。