*[本]ロンドン金融街で学んだイギリス式仕事と人生の絶妙な知恵

ロンドン金融街で学んだイギリス式 仕事と人生の絶妙な知恵

ロンドン金融街で学んだイギリス式 仕事と人生の絶妙な知恵

肩書きに見る日英の文化

「欧米の企業に、このような多数の肩書きは存在しない。実質の伴うラインの長、すなわち、日本でいう課長か部長の立場(つまり、本当に仕事上の決裁や人事に権限を持つ管理職)にない限り、全く肩書きがつかない企業もある。主任だの、係長など一切なし、である。
それで、社員たちは別に文句を言わない。セールスマンはセールスマンとして、調査マンは調査マンとして、仕事が評価され、それが給料とボーナスに正しく反映される限り、肩書きに不満は言わない。少なくとも、私は、シティのイギリス人社員が、肩書きで不満を言っていることを聞いたことはない。語弊を恐れずにいえば、彼らは肩書きという名より、年収という実を取るということであろうか。」

「日本の企業の間には、「ご挨拶」という言葉があるように、今、取り立てて議論すべき懸案はないが、日ごろの取引に対する感謝と今後の親密な関係の維持の確認という意味を込めて、取引先を表敬訪問することが多い。そのような場合は、具体的な取引上の案件は話題にしない。先方の役員とまず握手を交わし、二、三、当たり障りのない話題を選んで小一時間話して、「それでは、今後もよろしく」とまた握手して面談は終わる。これすなわち日本式の「ご挨拶」という名の表敬訪問である。
ところが、欧米企業の役員には、これがよく分からない。「彼は、具体的な取引案件を何も話さず帰ったが何しに来たのか。お互いの時間の無駄ではないか」と首をかしげるのだ。実際、この種の訪問で、最初に型通りの挨拶を終えた後、双方とも話題がなく、気まずい沈黙が流れ、同席した担当者が冷や汗をかいたという実話もある。」