*[本]震度0

震度0

震度0

「もうやめませんか」
今度は静かな声で言って、堀川はみんなの顔をゆっくりと見回した。
「このままでは埒が明かない。本部の中で様々な情報が錯綜し、誰もが疑心暗鬼に陥ってしまっている。腹を割って話すべきです。不破さんを見つけ出すために隠している情報を出し合い、知恵を絞るべきです。ここにいる全員がそれぞれ持っている情報をすべて出し合えば、きっとわかることがある。情報のピースが揃わなければ全体の絵は見えてこない。違いますか?」
部屋は静まり返った。
言葉に説得力があった。地震に没頭していたはずの堀川が、不破失踪の一件に対して、昨日までとは明らかに異なる深い切り込みをしてきた。キャリア組でも地方でもない準キャリアの役割を果たそうとしているとも言えた。