*[本]自分の意見が言える人になれ!

このお笑い王国が、いま最大のテーマとしているのが、「ナンバーワン」ではなく、「オンリーワン」を目指すことだと木村さんは言う。タレントの発掘・養成も、会社自体の経営方針も、その旗標は「オンリーワンになろう」なのだそうである。
たとえばタレントを例にとると、漫才コンビの「オール阪神・巨人」と「ダウンタウン」の違いがわかりやすい。
木村さんは、「ナンバーワン」を目指した古い時代のタレントを「オール阪神・巨人型」と呼んでいる。彼らは、漫才という狭い世界の中だけで一番になりたいと願い、そのために一所懸命に芸を磨く。目標は上方漫才大賞だ。弟子や後輩たちにも、「漫才師とはかくあるべし」「芸人らしくしろ」と自分たちのポリシーや価値観を強要する。
だが、彼らはそのポリシーのせいで、しょせんは演芸界という狭い世界の中でしか活躍できないのだという。
これに対して、「ダウンタウン」にとっては、漫才というのは、単に彼らが世の中に出て行くためのひとつの手段でしかない。彼らは漫才のネタを一所懸命に練習することはしないし、後輩たちにそのポリシーや価値観を強要することもしない。
それよりも、自分たちの独自性や存在感、オリジナリティを大切にし、それをアピールしようとしている。つまり、「オンリーワン」を目指しているのだ。
だから、演芸番組だけでなく、歌番組の司会や報道番組までもこなすことができるようになった。演芸界でも自分たちはとくに狙っていたわけでもないのに上方漫才大賞も受賞してしまった。

A業界にいる人から情報を取りたかったら、まず、Aの話は絶対にしないことだ。BやCの話から始める。それも、できるだけ熱っぽく、おもしろおかしく話すように心がけるといい。自分の知らない世界のことを聞かされた相手は、必ず話の中に引き込まれてくる。そして、得した気分になってくれる。そうした気分になってくれたところでAの話をしてもらうようにすれば、相手もこちらに負けないように熱心に情報を提供してくれるものなのである。